farmers
02

代々受け継がれる山を守る「山守人(やまもりびと)」

「僕たちは、原木しいたけ農家ではありません、山を守る副産物として原木椎茸があるのです」
空っ風が吹き荒れる2月。急斜面のなか、櫟(くぬぎ)の木を長さ1メートルほどの丸太(榾木/ほだぎ)に切り分け乾燥させる。広大な山々の管理を受継ぐ中野さん。山全体が彼らの仕事場。広大過ぎて驚かされる。
7月。新たに育つ櫟(くぬぎ)の手入れの後、春に植菌した(椎茸の菌を埋め込んだ)榾木の状態をひとつひとつ見てまわる。榾木を寝かせる場所は木漏れ日が適度に当たり風通しの良い林の中。榾木に埋め込まれた椎茸の菌の糸が木全体にめぐるための大切な時間です。
寝かされていた榾木は環境のいい場所に移動し、綺麗に並び組まれ椎茸が自然発生するのを待ちます。椎茸が本格的に自然発生するまで、植菌して2夏経過後となります。原木椎茸は収穫までに2年もの歳月がかかるのです。

一本の榾木から原木椎茸の収穫が4回(年1回冬の時期)ほど繰り返されます。その後、栄養を吸われボロボロになった榾木は山の養分となり土にかえります。
広大な山々の景色が見渡せる場所で「山の仕事=山の管理」を伺いました。山を守る過程でできる原木椎茸。こんなに壮大な仕事であることに驚くことばかり。日本には管理されずに放置された山が多く存在します。これからの子供たちに、人類に伝えなければならない「地球を守る」大切な職・食のひとつだと感じます。

山を守る仕事は一年中休むことなく続きます。
簡単に原木椎茸が「ぽっ」と生えてくるわけではありません。自然環境のもと、人間の手間暇と長い年月をかけ出来上がる偉大な食材。自然のサイクルのなかでできた原木椎茸。自然をいただきます!

farmers information

中野はじめ商店中野 芳将・ゆうきさん

愛媛県大洲市肱川町山鳥坂518
◇ 主な生産品
原木椎茸